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~クレール・ラナ~

「……命中」
 緑の魔剣を構えたままつぶやく。
 あたしの放った雷撃は、夜空に浮かんだ銀色の発光体を見事撃ち抜いた。
 緑の魔剣が持つ力。狙いは絶対外さないというか、ある程度なら目標を自動追尾してくれる。かなりの距離があっても、避けられることは滅多にない。
 雷撃を放つ直前。ディノが持つ赤い剣のことを思い出し、手が止まりかけた。ディノがいたなら、あの見放された者も救うことができたのかな――と。
 それでも迷ったのは一瞬。自分でも驚くくらいに無駄のない動作で、あたしは剣を取り、撃っていた。
 変異の進んだ見放された者は危険だ。アイツらはなぜか人を襲う。きっと脳が変異した後も人間だった頃の記憶が残っているんだ。だから人に執着する。
「ねぇクレール! そんなとこで遊んでないで、手伝ってよ!」
 店の中からロミーナが呼んでいる。あたしは石造り亭の屋根に乗っていた。……ウエイトレスの格好で。
 ……似合わない。エプロンドレスなんかあたしには絶対似合わない。ウエイター服の方が、まだ合ってると思う。こんな格好ディノには絶対見せられない。
 なんとか仕事をサボタージュしようと思って、こっそり店を抜け出したけど、やっぱりすぐ見つかってしまった。しかも運悪く見放された者を見つけてしまったせいで、ほとんど休めていない。
「クレールってば!」
 再びロミーナの声。「はいはい」と返事をして屋根から飛び降り石畳に着地する。ふと、真横に異様な気配を感じてあたしは振り向いた。
 深い夜闇の中で、妖しく揺れる虹色の瞳――。あたしに緑の剣をくれたあの虹目の少女が、彼方を見つめて眉をひそめていた。
「ねえ」
 声をかけた次の瞬間、虹眼の少女は暗闇に溶け込んで消えた。辺りを見渡してもその姿はどこにもない。
 ――不意に背後から手首をつかまれた。振り向くと、頬を膨らませたロミーナがすぐ近くにいた。腕を引っ張られ、強引に店内へ連れ戻される。
 恐ろしい力ディノが恐れるのも納得できた。たかが十歳児の腕力に、大人のあたしが全く抵抗できない。泣く泣く店の手伝いをさせられることに。
「クレール。さっき雷落ちなかった? 外、光ってたけど」
 トレーに空の料理皿を載せて運びながら、ロミーナが尋ねてきた。あたしは笑ってかぶりを振った。


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