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~ディノ・ガレル~


 ……よし。行こう。
 行ったり来たりしていても埒が明かない。意を決し、僕はこのまま古城へと向かうことにした。

 ――歩く。
 ――――歩く。
 なぜかいつまで経っても城に辿り着かない。霧のせいで距離感が狂わされてしまっているからだろうか。それにしたって遠すぎる。
 ……歩く。
 …………歩く。
 ………………歩く。
 そうして何時間歩き続けただろうか。
 いつの間にか霧は晴れており、僕は見慣れた通りを歩いていた。
 ――そこは大衆酒場・石造り亭の前。
 気づくと、周りは大勢の行き交う人たちであふれていた。行き交う荷馬車。活気に満ちた街並み。そして――。
 聞こえてくる歌声。どこの国のものとも知れない歌詞を口ずさみながら、誰かがこちらへと近づいてくる。
 よどみなく美しいその声を、僕が聞き違えるわけもない。それは紛れもなくローリーの歌声だった。
「やあ。ニギル君」
 ローリーが笑顔で手を上げた。
 …………ニギル。誰だろうそれは。
 ローリーの瞳は真っ直ぐこちらだけを見つめている。まさか『ニギル君』とは僕のことを言っているのだろうか……?
「昨日、新人さんが入ったんだ。すごく綺麗な女の人」
「えっ」
「本当、素敵な人なんだ。もう一目で好きになっちゃったよ」
 どこかで聞いたことのある言葉――。確か、僕がロミーナ姉さんと帝都で再会した日の会話だ。
 これは……まさか……。にわかには信じられないが、タイムスリップを起こしてしまったのだろうか。
 ――だけど、何かが違う。
 この会話をしたとき、彼は僕を『ピエロ君』と呼んでいたはずだ。なのにさっきはニギルと呼んだ。
 何かがおかしい。けれど、どこがどうおかしいのかを上手くまとめることができない。僕はさっきまで石造りの古城へ向かっていたはずなのに、どうしてこんな……。
「――っ!」
 突然、背後で息を飲む声が聞こえた。尋常でない雰囲気を察して、僕は振り返った。
 そこに立っていた人物……それは僕だった。
 僕とそっくり同じ顔をした『もう一人の僕』が、驚愕に満ちた表情でこちらを凝視している。
 これは……なんだ……? いったい何が起こっている――?
「見放された者――――なのか」
 静かな声でつぶやいて、もう一人の僕がスッと眼を細めた。その手がゆっくり前へと伸ばされ、あるはずのない『何か』をつかみ取る。
 それは刃。赤の魔剣。見放された者に死を与える都市の伝説――。
「ローリー。下がっているんだ」
 もう一人の僕が言い、赤の魔剣をこちらへと向ける。透き通った赤の刀身を見つめながら、僕はただ混乱するばかりだった……。


 BAD END



 ※ ヒント

 石造りの古城には事象の歪みが発生しており、あらゆる時間、あらゆる可能性に通じています。今回ディノは運悪く別世界へと誘われてしまいましたが、タイミングをずらして行くことで古城の内部へ入ることができます。
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