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~ロランベル・アルジェント~

 ――目が覚めると、そこはベッドの上だった。
 体を起こし、周囲に視線を巡らせる。見慣れた部屋……だった。僕の寝室だ。でも、どこか違和感があるような……。
 そういえば、どうして僕はここにいるんだろう。確か帝都に大きな見放された者が現れてそれで……。
 目覚める前のことを思い出し、身震いした。僕は――そう、死んだはずだった。
 あれは夢だったんだろうか。夢というには生々しすぎるような気もしたけど……。
 現れた巨大な見放された者――。
 崩れてゆく石造りの都――。
 そして――――僕を庇ってディノが死んだ。
 僕は彼にあんなひどいことを言ってしまったのに……。あんなにひどい言葉で罵った僕を、ディノは最期まで助けようとしてくれた。
 夢の中では結局僕も死んでしまったけど、いい夢だったかもしれない。そして、悲しい夢――だった。
「僕は……」
 夢の中でディノが死ぬよりずっと前――。ディノを傷つけたときの情景が思い浮かんだ。
 あの日僕は、どうしてあんなことを言ってしまったんだろう。家族が亡くなったことを、バチが当たっただなんて……あんなひどいことを……。
「どうして……あんな……」
 胸の奥が締めつけられる。
 後悔しても、後悔しても、後から罪の意識が無秩序に湧き上がってくる。
 言わなければよかった。一時の激情に身を任せて、あんなひどい言葉を――。
「――ええ。まだ目は覚まさないけど、峠は越えたってお医者様が……」
 部屋の外から話し声が聞こえてきた。お義母さんが誰かと話しているらしい。その声が段々と近づいてきて――。
 ノックもなく扉が開けられた。入ってきたお義母さんは、僕を見て「ああっ」と声を上げた。
「ローリー! 目が覚めたのね!」
 お義母さんが駆け寄ってきて、僕を抱き締める。でも、僕の心はそこにない。
 お義母さんの次に部屋へと入ってきた男の人……。僕の視線は彼に釘付けられていたから。
 赤茶色のコートを羽織った、物静かな雰囲気の青年――。切れ長の瞳でじっとこちらを見据え、足早に近づいてくる。
 ディノ――!
 言葉より先に涙があふれてきた。
 もう会えないかと思った。会いに来てくれるはずがないと思った。それなのに――。
 ――止まらない。
 ――止まらない。
 まぶたをぎゅっと押さえつけても。
「今までごめん……! ごめんねディノ……!」
 お義母さんを押し退けてディノの前に立ち、泣きながら何度も謝った。こんなことで許されるはずがないとわかっていても、謝らずにはいられなかった。
「謝るのは僕の方だ。君の支えになれなかった」
 ディノは苦渋をにじませた表情で言った。
 やっぱり。どんなときでもディノは優しい。僕を恨むどころか、こんなに心配してくれていたなんて……。
「でも僕……ディノにひどいこと言っちゃったのに……」
「ひどいこと……って?」
「え……?」
 ディノは不思議そうに僕を見つめていた。


 その後、驚くべきことがわかった。
 ――僕がディノを蔑み続けた3年間は、なかったことになっていた。3年の月日は経過しておらず、僕が劇薬を飲んだあの日からまだ数日しか経っていなかった。一応ディノには謝ってみたけど、「夢でも見たんだろう」と片付けられてしまった。
 失われた3年間――。そのときの記憶は、まだ鮮明に残っている。あれは本当に夢だったんだろうか……。
 いろいろ考えた挙句、神様がやり直すチャンスをくれたんだと思うことにした。
 僕はもう二度とディノを傷つけたりしない。彼が僕を守ってくれたように、僕も彼を守るために生きていく。そう心に誓った。


 そのとき僕はまだ気づいていなかった。あの悲劇が、紛れもなく通過してきた現実だったということに。
 そして、本当の苦難はここから始まるということに――。
 
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テーマ : 自作小説(ファンタジー)
ジャンル : 小説・文学

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